アメリカのオバマ大統領は、テロ容疑者への拷問などで批判を浴びていたグアンタナモの収容施設を閉鎖する大統領令を出し、ブッシュ政権からの政策転換を鮮明に打ち出しました。 「我々は戦争のさなかであっても、テロとの戦いであっても、この国を形づくってきた司法手続きの基準や憲法の価値観を回復します」(オバマ大統領) オバマ大統領は22日、カメラの前で、グアンタナモの収容施設を1年以内に閉鎖する大統領令に署名するとともに、CIAが世界各地に持っているいわゆる「秘密収容所」についても閉鎖する大統領令を出しました。 同時多発テロ事件の後に作られたグアンタナモ収容所では、罪状もはっきりしないまま容疑者が長期間拘束された上、「水責め」などの拷問も行われていたとして内外から強い批判を浴びていたもので、ブッシュ時代の対テロ戦争のいわば「負の象徴」という存在でした。 もっとも、およそ250人の容疑者の取り扱いについてはこれから個別に審査するとしていて、共和党議員などからは「閉鎖して果たして安全が守れるのか」という批判も出ています。 このあとオバマ大統領は、国務省をわざわざ訪れ、クリントン新国務長官と共に職員を前に、「アメリカの外交を刷新し、指導力を回復させよう」と訴えかけました。 「『アメリカは拷問をしない』、この言葉に一切の例外はありません!」(オバマ大統領) クリントン国務長官とのツーショットは、前政権の外交・安保政策からの迅速な方針転換を強烈にアピールする効果も発揮しました。(23日10:27)