島根県に19日オープンした民営刑務所で、塀の中で盲導犬を育てるというユニークな取り組みが始まりました。受刑者自身が部屋の中で子犬と一緒に生活するというもので、その狙いはどこにあるのでしょうか?
受刑者の収容棟には生後3か月の子犬がいます。この犬がこの刑務所の大きな特徴です。島根県浜田市にオープンした国内4番目となる「民営刑務所」。およそ2000人の受刑者を収容し、農作業を活用したり、障害のある受刑者へのプログラムを作るなど、様々な特色を打ち出そうとしています。
その中でも注目を集めているのが、刑務所の敷地の中に盲導犬の訓練センターを作ったこと。なぜ、受刑者に盲導犬なのでしょうか?
盲導犬を育てるには、まず生後2か月ほどで親犬から離し、人間に対する信頼感を高める必要があるといいます。この期間は特別な訓練は必要ありませんが、決まった人がおよそ1年にわたって生活をともにする必要があります。そこに、この刑務所が目をつけたのです。
「犬の愛情が受刑者に非常に力を与えてくれると思います」(日本盲導犬協会訓練部松本健太郎さん)
長期間にわたって犬と一緒に生活することが、受刑者の立ち直りにいい影響を与えると考えたのです。この刑務所では、選ばれた受刑者が自分の部屋に犬の飼育用のケージを持ち込み、1年にわたって犬と寝起きをともにします。エサやりや散歩もしてもらいます。
「受刑者は規則通りに動きますので、犬にとっても常に一貫性があるのは一つのメリットととして考えられる」(日本盲導犬協会訓練部松本健太郎さん)
去年オープンした兵庫県の民営刑務所でも、週に一回、犬と接する「犬セラピー」を導入するなど、今、犬が与える効果に注目が集まっています。
「犬との時間は素直な自分でやさしくなれるというか、また頑張ろうと思える」(犬セラピーを経験している別の刑務所の受刑者)
盲導犬の数は全国的に不足していますが、刑務所側は、こうした現状にも一役買うことができればと話しています。(19日17:38)