広島、長崎で被ばくしたにもかかわらず、原爆症と認定されないのは違法だとして、被ばく者が国を訴えた裁判の控訴審判決で、大阪高裁は一審に続き、原告全員の訴えを認めました。
大阪、兵庫に住む原告９人は、月におよそ１４万円が支給される原爆症の認定を厚生労働省に申請しましたが、爆心地から距離が遠かったことなどを理由に認められませんでした。
一審の大阪地裁は原告全員の訴えを認めましたが、国は「被ばくの可能性のみで根拠がない」として、控訴していました。
３０日の判決で大阪高裁は、「原告らの疾病についてはすべて放射線に原因があると認められ、厚生労働大臣の却下処分は違法」だとして控訴を棄却。再び原告全員の訴えを認めました。
原爆症認定をめぐっては２８日、仙台高裁でも原告が勝訴していて、政府は対応の見直しを迫られそうです。
今回の判決を受け、厚労省は「これまでの国の主張が認められず、判決は厳しいものであると認識している。今後の対応については関係省庁とも協議して検討してまいりたい」としています。
全国１５の地裁と６つの高裁で係争中の原爆症認定訴訟は、高裁段階でも国側敗訴の判決が相次いでいて、３０日の判決で地裁・高裁合わせて国側の８連敗となります。厚労省は４月に原爆症の認定基準を緩和したばかりで、当面、この新基準を見直す考えはありませんが、舛添大臣は２８日、「大阪高裁判決を見たうえで今後の対応を検討したい」と話していて、今後の対応が注目されます。（30日11:41）
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