今月、東京都で脳内出血の疑いがある妊婦が7つの病院に受け入れを断られ、死亡していたことが分かりました。当初受け入れを断わった都立病院は、都からリスクが高い妊婦に24時間態勢で対応する「医療センター」に指定されていました。
今月4日午後7時ごろ、出産間近の36歳の女性がはげしい頭痛や下痢・嘔吐などを訴え、かかりつけの産婦人科医院に救急搬送されました。
医師は脳出血の疑いもあるとして、墨田区の都立墨東病院に受け入れを打診、しかし墨東病院はこれを断わりました。
女性はその後、6つの病院に断わられ、結局、当初受け入れを拒否した墨東病院に搬送されましたが、帝王切開で赤ちゃんを出産した3日後、脳出血のため死亡しました。
「確かに急いではいましたが、搬送の1番の理由として、頭部の問題ということを挙げたと思っています。うちで様子を見られる状態ではなかった。それはお伝えしていると思います」(かかりつけの産科、五の橋産婦人科担当医)
都立墨東病院は、東京都からリスクが高い妊婦などに24時間態勢で対応する「総合周産期センター」に指定されていて、「2名以上の医師による当直が望ましい」とされています。しかし当時、当直は1人しかいませんでした。
「医師の確保が今現在、思うようにいきませんで、土日は当直医1名という態勢でやっておりました。当初『下痢と嘔吐が強い』ということで、頭痛という話もあったようですが、いわゆる『極めて激しい頭痛で、脳内出血が疑われる』というような症状は、当初、担当の1人でいた産科医には伝わらなかった」(都と墨東病院の会見)
都では去年2000人以上の妊婦が緊急搬送されていますが、3回以上搬送を断わられたケースは230件、中には27回搬送を断わられたケースもありました。
また、都内の産科医は、この20年で2割以上減少しています。産科医療はいま、深刻な事態を迎えています。(22日21:16)