アメリカのオバマ次期大統領は、新政権の国務長官にヒラリー・クリントン上院議員を起用する、と正式に発表しました。 「ずっとクリントン氏を尊敬してきました。予備選挙が終わった時から、どのようにクリントン氏と協力していくか、常に考えていました」(オバマ次期大統領) オバマ次期大統領が、予備選挙で最後まで指名を争ったクリントン氏を国務長官に選んだのは、閣内に取り込むことで挙党体制を確立すると共に、前のファーストレディーとしての経験と知名度を新政権の外交に生かすことを狙ってのことです。 「オバマ次期大統領、この新世紀に私はあなたの政権に入り、困難だが刺激的な冒険に参画することを誇りに思います」(次期国務長官、ヒラリー・クリントン上院議員) とりわけ新しいホワイトハウスは、発足後、当面は経済の回復にフル回転を強いられるだけに、外交分野では、共和党員でもあるゲーツ国防長官の留任とあわせて、安定感ある重厚な布陣に一定、委ねざるを得ないという事情も垣間見えます。 記者会見でオバマ氏は、「政権内での活発な議論こそ、最善の決定のために大切だ」とあえて強調しましたが、クリントン氏の強い自己主張が、夫の元大統領の存在と共に一人歩きするリスクも指摘されています。 イラクから戦闘部隊を16か月以内に撤退させるという公約の実現をはじめ、テロとの戦いやイラン・北朝鮮の核問題、そして何よりアメリカ外交の威信回復という難問を前に、クリントン国務長官をうまく活用しきれるかどうかは、オバマ政権初期の評価を大きく左右することになりそうです。(02日11:15)