パキスタンの宗教施設に武装した学生らが立てこもっていた事件で、舞台となったイスラム教の礼拝所、モスクと神学校が報道陣に公開されました。
事件発生以降、徹底して現場から報道陣を遠ざけてきたパキスタン政府ですが、完全制圧から一夜が明けた12日、ようやく施設を公開しました。
ここは神学校の中庭です。窓ガラスはすべて割れ、壁には無数の銃弾の痕が残り、銃撃戦の激しさを物語っています。
部屋の1つには神学校の地下から押収されたという大量の武器が陳列され、この神学校がイスラム過激派の拠点となっていたことをうかがわせました。また、政府はこの日、強行突入によって殺害された神学生らの遺体を埋葬しました。
政府は、遺体の数をおよそ70体としていますが、地元メディアは「1つの棺おけに複数の遺体が入っていた」とする目撃証言を報じるなど、政府が発表する犠牲者の数に懐疑的な見方を示しています。
こうした中、ムシャラフ大統領は12日夜、国民向けにテレビ演説を行い、「犠牲を減らす努力をした。突入は不可避だった」と述べ、突入に踏み切ったことへの理解を求めました。
国外に対しては、イスラム過激派への断固とした姿勢をアピールしながらも、一方で国内の過激派をこれ以上刺激したくない。徹底した情報管理のもと、遂行された今回の突入作戦は、ムシャラフ政権のそんなジレンマを映し出しています。(13日03:42)