ガザへの攻撃を続けているイスラエル軍は、地上部隊をガザ中心部に展開させ、ガザ市などを包囲しています。こうした中、イスラエル軍がガザの人口密集地に、人体に深刻な影響を及ぼす「白リン弾」を使用している疑いがあると国際人権団体が発表しました。
「これが白リン弾です。落下すると100個以上の物体が見えるでしょう」(国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」ガルラスコ氏)
こう話すのは、国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」のガルラスコ氏です。
私たちがガザ境界付近で実際に撮影した映像を見せると、これが人を焼き尽くす兵器とも言われる「白リン弾」だと明言したのです。
「白リン弾の燃焼力はとてつもなく強いのです。人の皮膚に触れるとひどいやけどとなり、家に落下すれば全焼するでしょう」(ガルラスコ氏)
白リン弾は現在、国際条約では明確に禁止されていません。しかし、これが人の皮膚に触れると激しく燃え続け、消火も極めて困難、ヒューマン・ライツ・ウォッチはこれまでの調査結果からガザの人口密集地に白リン弾が投下されている疑いがあると発表し、国際人道法の義務に反すると強調しています。
事実、AP通信は11日、ガザの村でこの白リン弾が使用され、やけどなどで1人が死亡、100人以上がけがをしたと伝えています。
私たちの取材にイスラエル軍報道官は、この白リン弾の使用については明確に否定せず、次のようにだけ答えました。
「イスラエル軍は他国と同じ兵器を使っています。すべては国際法にのっとってやっています。別に変なことはありません。世界が使っているものと同じものを使っているのです」(イスラエル軍報道官)
人口密集地へのこの白リン弾の使用が事実だとすれば、ハマスのみを標的にしているというイスラエル軍の主張は正当性を失うことになります。(12日09:46)