かつて一撃のパンチで目前にしていた王座を逃した。あれから3年。3度目の世界挑戦を実らせた清水は「努力は報われる」と男泣きした。
立ち上がりは武器の鋭い左ジャブでペースを握った。だが、左右にスイッチを繰り返す王者は四回から前に出始め、五回にはノーガードで間合いを詰める変則スタイルで攻めてきた。清水は戸惑い、特に相手が左構えの時に左が減った。だが「(相手が)サウスポーでも自分のジャブは当たると思った」。七回はカサレスの構えに構わずジャブを繰り出し、八回には打ち合いの中で右、左、右の連打であごをとらえて、王者を棒立ちにさせた。
2度目の世界挑戦だった2008年7月、WBCフライ級王者(当時)の内藤大助を相手に九回までポイントでリードしながら、十回の打ち合いで内藤の左フック一発でぐらつき、連打を浴びてKO負けした。元来はアウトボクサーだが「あれ以来、打ち合いの練習もしてきた」。その成果を劣勢に陥りかけた八回に発揮し、ペースを取り戻した。
日本フライ級王座を持ったまま臨んだ内藤戦を清水は「どこか保険をかけていた」と語ったことがある。だが、今回は昨年11月に日本王座を返上し、退路も断って臨んだ。1965年にジムを創立した往年の名ボクサー、金子繁治名誉会長(80)は初の世界王者の誕生に「うれしい。荷も重いけれど」。清水は「内藤戦があるから今がある」。敗北を糧に悪夢を振り払い、世界初挑戦から約4年半越しの夢をかなえた。【飯山太郎】
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◆ 武器(ぶき):武器
◆ 連打(れんだ):连打
◆退路(たいろ) :退路