今回の能登半島地震では、今年9月にも本格運用される「緊急地震速報」のシステムが作動していたことがわかっています。揺れの直前に伝わるこの情報をどのように有効活用していくべきか、清水記者の報告です。
「緊急地震速報」は、地震の発生を震源の近くで察知し、大きな揺れが迫っていることをいち早く伝える新しい防災情報システムです。すでに一部事業者で利用が始まっていて、今年9月にも一般向けに本格運用されます。
(Q.「あと5秒で地震来ます」というシステムがあったら?)
「いいね。そんなんしてくれるといいね」
「(今回は)全然わからんかったから」(能登半島地震の被災者)
震源からの距離が離れているほど、揺れが来ることを余裕を持って知ることができます。しかし、震源が内陸に近かった能登半島地震では、速報の提供は珠洲市で7秒前、能登町で5秒前、輪島市などでは間に合いませんでした。
「自分の身の振り方というか、どこに退避するか、それだけだと思う。5秒や10秒じゃ実際できんと思う」(被災者)
「5秒前か・・・。まあ、どうかな」(家が全壊した被災者)
気象庁では「情報を出す側としてはうまくいった」と評価していますが、その存在や利用価値についてはまだ充分に知られていないのが実状で、北陸4県では官庁をはじめ、ほとんどの企業が「緊急地震速報」を利用していませんでした。
「現状では残念ながら、国民の皆様には浸透するには至っていない」(内閣府、3月28日)
緊急地震速報の周知広報に取り組んでいくとする政府。しかし、問題は、状況に応じた避難行動の取り方を知ることです。
「ポイントは『心得』。情報を聞いたときに、どういうふうに行動すべきか、ということを知っていただくことが一番。合わせて、この情報は、強い揺れに間に合わないことがある。だから、(すべて)この情報だけに頼ってていいわけではない」(気象庁地震火山部斎藤誠調整官)
緊急地震速報が一般に利用されるまであと5ヶ月。わずか数秒前にもたらされる情報をいかにうまく使うことができるか、今回の能登半島地震で今後の周知の重要性が認識された形です。(01日17:04)