元厚生事務次官や家族が相次いで襲われた事件です。捜査本部の調べで、犯人が元次官の家にいる家族全員を殺害しようとしていた可能性があることがわかりました。埼玉、東京の両事件とも、犯人は犯行後、血がついた刃物を持ったまま、家の中を歩き回った形跡が残されていました。 このうちさいたま市南区で元厚生事務次官の山口剛彦さん(66)と妻の美知子さん(61)が殺害された事件では、玄関の2人の遺体の近くから「山口」と書かれた印鑑が見つかりました。 犯人は宅配業者を装って犯行に及んだとみられていますが、その後の調べで、犯人が犯行後に土足のまま家の中にあがり込み、歩き回っていたことがわかりました。 部屋の中には刃物から落ちたとみられる血の跡が残されていて、捜査本部は、犯人が刃物を持ったまま、他にも家族がいないかうかがい、全員を殺害しようとした可能性があるとみて調べています。 一方、東京・中野区で、元厚生事務次官・吉原健二さんの妻、靖子さんが襲われて重傷を負った事件でも、犯人の男は宅配業者を装っていて、廊下に血痕が残されていました。 吉原さん宅でも犯行後に自宅に上がり込み、健二さんも襲撃するため室内をうかがっていた可能性があるとみられています。 また、凶器の刃物は、埼玉と東京の両事件とも、刃物の片側に刃がある「片刃の刃物」とみられることがわかりました。捜査本部は、強い恨みを持つ人物による連続テロ事件という見方を強め、捜査しています。(20日11:12)