去年5月、愛知県長久手町でおきたけん銃発砲・立てこもり事件の裁判で、名古屋地裁は、殺人などの罪に問われた元暴力団員の男に無期懲役を言い渡しました。 死刑を求刑されていた大林被告ですが、無期懲役の判決を聞いた直後、裁判長に軽くおじぎし、その後はうつむきながら話を聞いていました。 この事件は去年5月、愛知県長久手町で、元暴力団員の大林久人被告(52)が、家族にけん銃を発砲し、元妻を人質に自宅に立てこもったもので、警察官2人を含む4人が撃たれ、このうち警察の特殊部隊、SATの隊員、林一歩警部が死亡しました。 これまでの裁判で検察側は、社会全体を震撼させた凶悪な犯罪だと指摘し、殺害された被害者が1人でも死刑を選択すべきだと求めていましたが、弁護側は、大林被告に殺意がなく、死刑は重過ぎると主張していました。 17日の判決で名古屋地裁の伊藤納裁判長は、「林警部を直接狙ったという殺意は認められない。まことに重大であるが、被告人に更生の可能性は全くないとは言い切れない」と述べ、大林被告に無期懲役を言い渡しました。 法廷には死亡した林警部の遺族も傍聴していて、目をつむりながら判決を聞いていましたが、時折、手に持ったハンカチで涙をぬぐっていました。(17日11:36)